愛知県と名古屋市が2026年に共催する第20回アジア競技大会が、9月19日~10月4日の秋に開催されることになった。19日、ジャカルタであったアジア・オリンピック評議会(OCA)の総会で承認された。選手が持てる力を十分に発揮できることを考え、暑い時期の開催を避けた。
名古屋駅、変わりゆく街
名古屋市では今月3日、最高気温が40・3度まで上がり、これまでの記録を76年ぶりに更新した。2年後の東京五輪では暑熱対策が課題となっている。
県と市によると、選手の輸送など大会運営を円滑にするため、秋の大型連休を挟むことで渋滞回避も狙う。開会式を9月19日の土曜日、閉会式を10月4日の日曜日に開く。今回のジャカルタ大会は夏開催だが、秋に開かれた14年の韓国・仁川(インチョン)大会を参考にした。
また総会では県、市とOCAの間で「開催都市契約」も結ばれ、8年後に向けた準備作業が本格化する。日本オリンピック委員会(JOC)と来年5月ごろに組織委員会を設立する。
構想によると、実施競技数は現在開催中のジャカルタ大会より少ない36程度を想定。主会場の瑞穂陸上競技場(名古屋市瑞穂区)を3万5千席に拡張、約1万5千人が滞在する選手村は名古屋競馬場(同市港区)の跡地を活用する方針だ。ただ、県外を含めた会場を巡っては自治体や競技団体の意向が交錯し、再調整中の場所も多い。
総会に出席した大村秀章知事は「アジア全体の経済成長に伴って、大会は五輪をしのぐ規模になりつつある。その中で簡素で合理的、機能的な大会にしたい」と述べた。一方、河村たかし市長は「無駄遣いは当然いかんが、ケチってすぐ壊れるものじゃいかん。市民がずっと使えるものを残さないと」と話した。開催経費850億円、公費負担の上限600億円(県400億円、市200億円)と定めた計画が守れるかは不透明だ。(ジャカルタ=金子智彦)
名古屋市や豊田市など51カ所で開催
2026年夏季アジア競技大会は愛知県と名古屋市が共催し、9月19日から10月4日の16日間、名古屋市の瑞穂陸上競技場や市総合体育館、豊田市の豊田スタジアムなど51カ所(一部は愛知県外)で開かれる予定だ。
五輪で実施される陸上や水泳などのほか、アジアで盛んなボウリング、クリケット、カバディ、武術、セパタクローなど36競技を実施する計画。45カ国・地域の選手・関係者約1万5千人の参加が見込まれている。
夏季アジア大会が日本で開かれるのは、1994年の広島以来、32年ぶり。2027年にはリニア中央新幹線(品川―名古屋)が開業予定で、愛知県と名古屋市を世界にアピールすることを目指す。