文部科学省の前局長が、東京医科大の前理事長らから同省の私大支援事業の対象に選ぶよう頼まれ、見返りに自らの息子を不正入学させたとして起訴された汚職事件を受け、文科省はこの事業の来年度の予算要求を見送り、廃止する方針を固めた。代わりに別の支援策を新設する方針だ。
廃止されるのは、独自色のある研究のために施設費などを助成する「私立大学研究ブランディング事業」。2017年度分の選定をめぐり前科学技術・学術政策局長の佐野太被告(59)が受託収賄罪で起訴されている。今年度分は56億円を確保しており事業は続けるものの、来年度の新たな公募はできないと判断した。文科省は今年度の他の公募型事業についても、選定の過程に問題がないかを調べる方針を示している。
ブランディング事業をとりやめる一方、代わりの私学助成の特別補助の枠組みを新設する。大学改革の一環で、養成する人材ごとに大学を「世界を牽引(けんいん)する」「高度な教養と専門性を備える」「高い実務能力を備える」の三つのグループに分けることを促す予算で、政府の「骨太の方針」などを受けた対応。ブランディング事業を上回る金額を検討している。