歌人の藤原俊成、定家の流れをくむ歌道の冷泉家(京都市上京区)で25日、旧暦の七夕の儀式「乞巧奠(きっこうてん)」があった。牽牛(けんぎゅう、彦星〈ひこぼし〉)と織女(しょくじょ、織姫)に雅楽や和歌をささげて技芸上達を祈る伝統行事で、優雅な和歌のやりとりが招待客らを魅了した。
現存する唯一の公家屋敷(国重要文化財)の庭には、五色の布や秋の七草などを供えた祭壇「星の座」が設けられた。和歌を朗詠する「披講(ひこう)」では、当主の冷泉為人さん(74)らが作った和歌が披露された。最後の「流れの座」では、男女が天の川に見立てた白布をはさんで恋の歌を作り、扇に載せて交換した。(大村治郎)