陸上自衛隊の輸送機オスプレイの佐賀空港(佐賀市)配備に向けた動きが急展開した。地元漁協の反発がある中で、佐賀県が受け入れに合意。防衛省は南西諸島の防衛力強化を急ぐが、住民の不安や懸念はくすぶったままだ。
佐賀県、陸自オスプレイ受け入れ表明 着陸料は年5億円
「結論ありきではなく、様々な意見を聞き、プロセスを大切に向き合ってきた」
24日、陸自オスプレイの佐賀空港への配備受け入れを発表した山口祥義(よしのり)知事は、調整を重ねた上での判断だったことを強調した。小野寺五典防衛相との会談で「私として、これからしっかり考えていきたいと思うので、時間をいただきたい」と述べてから、わずか3時間後のことだった。
地元漁協にとっても「寝耳に水」の話。オスプレイ配備の漁への影響を調べていた九州防衛局が21日、調査日数が短かったことなどから「影響の有無は断定できない」と説明したのに反発し、追加調査を求めている中での表明だった。
山口知事は昨年5月に「国防には基本的に協力する立場」を表明してからは、防衛省への協力姿勢を強めた。一方、県内では今年2月、神埼市の民家に陸自ヘリが墜落し、「原因の究明が進むまでは」と国との交渉は停滞した。
しかし、自民党が多数を占める県議会は昨夏、配備受け入れを県に求める決議を可決。山口知事は12月に行われる知事選に向け自民党に推薦を求めており、支持者から「選挙前にオスプレイ受け入れを表明すべきだ」との声が上がったことも、判断の背景にあったとみられる。
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