保険料を回収しようと訪問した先の顧客の男性から暴行を受けそうになったのは雇い主が安全配慮義務を怠ったためだとして、岡山県内在住の30代の女性が24日、勤務先の「住友生命保険」(大阪市)を相手に440万円の損害賠償を求める訴訟を岡山地裁に起こした。
原告側の代理人弁護士によると、女性は正社員で雇用され、2013年から保険外交員として県内で勤務を始めた。16年5月、保険料回収のため顧客の男性宅を訪問した際、男性から暴行を受けそうになり腕を打撲するなどのけがを負ったほか、適応障害を患うなどした。17年に労災認定を受け、現在は休職中だという。
原告側によると、女性が被害を受けた2カ月前にも同社の従業員が訪問先の顧客に暴行されそうになる事件が発生していたという。原告側は、同社には従業員の安全確保のための配慮が必要だったにもかかわらず、複数人で対応させるなどの措置を講じなかったと主張している。
女性は24日、岡山市内で会見し、「保険外交員はほとんどが女性。被害で苦しんでいる人のことを知ってもらい、外交員の身の安全のための体制整備につながって欲しい」と訴えた。
同社の担当者は「訴状が到着していないのでコメントできない」としている。(華野優気)