鹿児島県霧島市の老舗かまぼこ店に、夏になると週末、行列ができるという。お目当てはかまぼこ……ではなく「かき氷」。なぜかまぼこ店でかき氷? 謎を解きに店を訪ねた。
同市隼人町の「植山かまぼこ屋」は1925(大正14)年に創業した90年以上続く老舗だ。現在は4代目の植山吉将さん(40)が店を切り盛りしている。
客のお目当ては夏限定のかき氷「紗雪氷(さゆきひょう)」(税込み486円)という。
紗雪氷は、練乳と県内産の牛乳を混ぜて急速冷凍させ、薄く削ったかき氷。「薄い絹」を意味する「紗」という字を入れ名付けた。かき氷とアイスクリームの間のような味、ふわふわした食感が独特だ。シロップはマンゴーとチョココーヒーの2種類。9月末まで楽しめる。
植山さんは故郷を離れ、東京の調査会社で営業の仕事をしていた。しかし25歳の時、母から突然、「店をたたむ」と電話で聞かされた。売り上げが落ち赤字が続き、「借金がないうちに」と、自分たちの代でやめるのだという。
「故郷に店がなくなるなんて嫌だ」。植山さんは当時結婚したばかりの妻・美穂さん(40)と実家に帰り、店を継ぐことを決めた。店は商店街の中にあるが、区画整理が進み次々と周りの店が減った。街全体のにぎわいが失われていたことに驚いた。
かまぼこは常連客が多いが、夏になると売り上げが落ちてしまうという。保存するための冷凍庫もガラガラに。「夏に売れるものはないだろうか」と思いついたのが、かき氷だった。
「どうせなら、話題になる変わ…