日本を代表する書家で、文化功労者の古谷蒼韻(ふるたに・そういん、本名・繁=しげる)さんが25日、肺炎のため死去した。94歳だった。葬儀は近親者で行った。喪主は妻フデ子さん。後日、お別れの会が開かれる予定。
1924年京都府生まれ。15歳で京都府師範学校に入学し、書道教員を志した。近代日本書壇の重鎮だった中野越南(えつなん)らに師事。中国古典の技法を尊重しつつ、日本的情緒が溶け合う独自の芸術の道を切り開き、日本書壇で指導的役割を果たした。
「現代書道二十人展」(朝日新聞社主催)に81年から2013年まで出品した。1984年度に日本芸術院賞を受賞。2006年に日本芸術院会員、10年に文化功労者。書への情熱は衰えず、晩年まで京都・宇治の自宅で制作に励んでいた。
13年に国内最大の公募美術団体・日展の不正審査問題が発覚後、日展を退会していた。