雪国の暮らしでは厄介者ともされてきた雪を、エネルギーとして活用する動きが広がっている。商品開発や観光資源にも役立つと、関係者は期待を寄せる。2020年東京五輪での活用をめざす取り組みも始まった。
東京・お台場で7月26日に開かれたビーチバレーボールの国際大会。メイン会場近くのテントには、天然の雪が詰まった衣装ケースが積み上げられていた。ケースの上のファンからは、涼しい風が出ている。電力をほぼ使わず、雪の気化熱で室内を冷やす「雪クーラー」だ。
外は30度近くなのに対し、テント内は25度前後。試合の合間にテントに立ち寄ったビーチバレー選手の石井美樹さん(28)は「エアコンよりも冷気がやさしくて、疲れがとれる気がする。更衣室に雪のクーラーがあればうれしい」と満足そうだった。
テントを設置したのは、豪雪地帯の新潟県南魚沼市。冬場に積もった雪にウッドチップをかぶせて保存し、約10トンを大会会場に持ち込んだ。暑さ対策が課題の20年東京五輪・パラリンピックに向け、「雪クーラー」の効果をアピールする狙いだ。林茂男・南魚沼市長は「北海道など他の豪雪地域とも連携した『雪国連合』を作り、雪クーラーの設置を政府などに働きかけていきたい」と意気込む。
雪のエネルギー活用は、11年…