早稲田大教授だった文芸評論家の渡部直己(なおみ)氏=先月27日付で解任=が元教え子の女性にセクハラをした問題で、女性が被害を相談した別の男性教授から口止めされたと訴えている点について、早大の調査委員会が「口止めを受けていると(女性が)感じる発言があった」と認定したことがわかった。
早大、渡部直己教授を解任 院生に「俺の女にしてやる」
女性は2016年4月に文学学術院現代文芸コースに入学。昨年4月、指導教員だった渡部氏からセクハラ被害を受けた。調査委の報告書によると、被害を相談した女性らに対して男性教授は「面倒なことに巻き込まれるのは嫌だな」と発言。「隙があるように見える」「あまり外では言わない方がいい」と話したという。「こういうことが起きたら結構たたかれちゃうことになるかもな」とも言い、問題が外部に知られることを危惧したという。報告書は「相談をしている側にとって口止めを受けていると感じる発言であり、教員として誤解を招く不適切な言動だ」とした。
また、渡部氏の「おれの女になれ」との発言を女性から聞いた際、男性教授が「ハラスメントにあたるかグレーゾーンだと思った」と調査で認めたことについて、報告書は「許されないものであるとの認識を欠いている」と批判した。
一方、女性が男性教授から「ハラスメント防止室に言ってほしくない」と言われたと訴えた点については教授が発言を否定しており、報告書は「双方に争いがある」とするにとどめた。
女性は今春に退学し、6月に被害を申し立てた。女性側は「調査は教授の証言ばかりに寄っており、事実認定が不十分だ。大学側に再調査を求めていきたい」としている。(土居新平)