経団連の中西宏明会長が、新卒学生の採用選考の指針廃止の方針を示したことを受け、政権や経済界、大学関係者からは様々な声が相次いだ。新たな議論を歓迎する声がある一方、学生の混乱を懸念し、慎重な対応を求める意見もある。中西氏の方針表明は唐突な面もあり、今後の議論は曲折もありそうだ。
中西氏は3日の記者会見で、新卒学生の採用選考に関する指針について、2021年春入社の対象者から取りやめる考えを示した。これに対し、安倍晋三首相は同日夜、都内であった自民党の会合で、「広報活動は3月、採用活動は6月に開始というルールをしっかりと守っていただきたい」と発言した。
中西氏と異なる考えとも受け止められかねなかったが、菅義偉官房長官は4日午前の会見で、首相の発言は「既に決まっている19年度までのルールについて」だったと説明を付け加えた。
4日の閣議後会見でも様々な意見が出た。加藤勝信厚生労働相は「経済界側、学生側、大学側、様々な観点に立って検討がされていくことを期待したい」と話す一方、「学生側、大学側などからは学業にしっかり取り組めるようにして欲しい」との要望もあると指摘。世耕弘成経済産業相は「私は従来、新卒一括採用はいろんな問題があると思っている。柔軟な働き方をこれから認めていく観点から、いろんな形があるべきだ」としたうえで、「中西会長の発言が、採用のあり方を経済界として一度議論するという趣旨であれば歓迎したい」と述べた。
大学関係者からは不安や反発の…