岐阜県の一部で、台風21号の影響による停電が4日間にわたって続いている。7日も6千世帯を超えており、残暑の中、住民は不自由な生活に耐えている。
中部電力によると、県内の停電は7日午前まで1万世帯を超え、午後9時現在でも山間部を中心に約6420世帯ある。倒木による断線が非常に多く、道路も寸断されて工事車両が現場に入れないことなどが原因という。8日中の完全復旧を目指すが、天候次第でさらに遅れる可能性がある。
岐阜市に隣接する山県市の船越地区で木工所を営む山口隆三さん(66)宅は、4日午後3時ごろから停電が続く。冷蔵庫の野菜などを処分し、夜は懐中電灯が頼りだ。「ランタンを買いに行ったが、どこも売り切れだった」。知人から発電機を借りて冷蔵庫や洗濯機は使えるようになったが、隣の長男宅はオール電化のため、孫が食事やトイレに訪れる。「今年の夏は暑かった。あの時期だったら、どうなっていたか」
同市出戸地区で工務店を営む洞山四四三(よしみ)さん(77)宅も発電機でしのぎ、情報は車のテレビから得ている。「発電機を回すにもガソリンが要る」と、長引く停電に不安を漏らす。
同市神崎地区の三島靖(やす)さん(76)宅の周辺では、携帯電話が使えなくなった。食料は移動スーパーが頼りだ。「大変だけど、文句は言えない。北海道のみなさんは、もっと大変な思いをしているのだから」(山下周平、山野拓郎)