専門書籍が出版されたり、雑誌が取り上げたりと、ブームになっている「小屋」。岡山市の植田板金店は2017年に小屋事業部を設立し、今年6月には新国立競技場を設計した隈研吾さんがデザインした小屋を発表した。なぜ専門外の分野に力を入れるのか。そこには生き残りをかけた2代目社長の戦略があった。
デザインと職人技が融合
7日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれていた「東京インターナショナル・ギフト・ショー LIFE×DESIGN」。各コーナーの中でひときわ目立っていたのが、同社が出展した「小屋のワ」だ。展示会のベストコンセプト賞も獲得した。
一見すると昔からあるプレハブの勉強部屋か物置のようでもあるが、実は隈さんのデザインと職人の技が融合した「作品」だ。
同社の小屋は一般の木造住宅と同様の揺れに強いツーバイフォー工法で、複層ガラスのアルミサッシを採用し、断熱材を入れることもできるなど、居住性を高めている。事務所や店舗としての利用を想定している。
「小屋のワ」では、内部に岡山県産など国産ヒノキを利用。板と板の間を隙間を空けず、ぴったりと合わせる「突き付け」という手間のかかる技法が使われている。
外壁はアルミを55%混ぜた亜鉛めっきで、さびにくくゆがみも少ないことが特徴の「ガルバリウム鋼板」。強度を高める効果もある波のような模様が施されている。これは同社に14人在籍している一級建築板金技能士が、たがねを使って一つ一つ打ち出した。
開口部を大きくとり、ウッドデッキとそこに張り出した大型のひさしで、複数の小屋をつなぐことができる。これが「小屋のワ」という商品名の由来だ。
9・9平方メートルで本体270万円、ひさしとウッドデッキが100万円(共に税別)。トイレや台所の設置もできる。限定58棟は「こや」の語呂合わせだ。
■きっかけは雑誌で知った小屋ブ…