10月8日に閉館する名古屋ボストン美術館(名古屋市中区)の後継施設の公募について、河村たかし名古屋市長は「まだ公式なコンペはしていない」と明らかにした。市は7月末にも公募を始めると6月市議会定例会で表明していた。募集条件の調整に時間を要し、遅れているという。
同館は窓がなく、特殊な空調を使うなど展示専用の施設として設計されている。飲食店やイベント会場に使うには数十億円の改修費が必要で、市は展示施設のまま運用する考えだ。しかし、公募に先立つ他の美術館や博物館などへの意向調査では、利用に前向きな声は多くなかった。そのため賃料を現行より下げるなど、条件の詰めを急いでいるという。
同館は1999年開館。金山総合駅前で市が所有する複合ビルにあり、米ボストン美術館から借りた作品を展示してきたが、資金難のため閉館する。市は年内に後継施設を決め、来年4月にもオープンしたい考えだ。担当者は「事業者にとって魅力的な条件を固め、できるだけ早く公募を始めたい」と話している。(関謙次)