神奈川県藤沢市の江の島周辺で開催されているセーリングのワールドカップ(W杯)をめぐり、地元の漁業団体が競技初日の11日、事前に合意していた時間より早く午前中に競技が開始されたとして、大会実行委員会に抗議していたことがわかった。W杯は2020年東京五輪のテスト大会と位置づけられている。12日以降は競技開始が午後からになった。
実行委によると、県も交えた地元漁業団体との協議で、コース周辺での漁に配慮してレースを午後1時から同5時の間に行うことで合意していた。だが11日は、一部のレースを午前11時ごろ開始。抗議を受け、実行委は漁業団体と協議し、翌12日からは正午以降の開始とした。
実行委は、事前に漁業団体と合意した開始時間をレース開始時間を決める団体「ワールドセーリング」に十分に説明できていなかったという。実行委の末木創造委員長は取材に「一部のスタッフに業務が集中してしまった。大変申し訳ない」と語った。
抗議した県しらす船曳網漁業連絡協議会の杉山武会長は取材に「漁業補償もない中で、譲歩し合って定めたルールではなかったのか。こんなことでは先が思いやられる」と語った。同会は11日に事態改善の要望書を県に提出したという。(鈴木孝英)