評論家の西部邁(にしべすすむ)さん(当時78)の自殺を手助けしたとして、自殺幇助(ほうじょ)罪に問われた、東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の元社員窪田哲学被告(45)=懲戒解雇=に対し、東京地裁は14日、懲役2年執行猶予3年の判決を言い渡した。窪田被告は西部さんの「腹心」として、常に近くにおり、記者も以前から知っていた。
西部邁氏の自殺幇助、MX元社員に有罪判決 無罪を主張
この日、窪田被告は傍聴席の遺族や知人に一礼したうえ、最後に入廷。守下実裁判官が「幇助行為の重要部分を担っており、果たした役割は大きい」と述べ、弁護側の無罪主張を退けるのを落ち着いた様子で聞いた。言い渡しが終わると立ち上がり、黙って頭を下げた。
「驚きのない幕切れだったな」。窪田被告らが4月に逮捕された日、記者は西部さんを知る人物からこう言われた。1月の自殺以来、西部さんを知る人の多くは「頼るなら窪田被告をおいてほかにいない」と感じていた。
窪田被告は西部さんが出演する番組のプロデューサーを長く担当。学識や人柄に強くひかれ、社内のもめ事を収めてもらったこともあって、固い信頼関係は師弟のようにも見えた。最晩年、西部さんが好んだ酒場に記者が同行すると、話の輪の片隅で、周りに気配りしていたのが窪田被告だった。
裁判で窪田被告は、西部さんが…