歌手の故・やしきたかじんさんの闘病生活を描いた百田尚樹氏の著作「殉愛」(幻冬舎)の記述で名誉を傷つけられたとして、たかじんさんの元マネジャーの男性が百田氏と幻冬舎に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。森田浩美裁判長は、百田氏が男性に取材をしないままに一部の内容を書いていると指摘。「真実だと信じたとは認めがたい」として、連帯して275万円の支払いを命じた。
男性は、たかじんさんの妻に暴言を吐いたり、会社の帳簿を操作したりしたなどと記述した、計19カ所について訴えていた。判決はこのうち14カ所で名誉毀損(きそん)の成立を認め、残り5カ所は「社会的信用を低下させたとは言えない」と判断した。また、約30万部が発行されていることを踏まえ、「多くの読者の目に触れ、評価の低下は大きい」と述べた。
幻冬舎と百田氏は連名で「主張が認められなかった部分は誠に遺憾。判決を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。(北沢拓也)