天皇、皇后両陛下は21日、愛媛、広島両県を日帰りで訪れ、西日本豪雨の被災者を見舞った。14日の岡山県訪問に続く2週連続のお見舞い訪問で、自衛隊ヘリやマイクロバスを乗り継いで被災地を回った。
両陛下はまず愛媛県西予市へ。肱川(ひじかわ)が氾濫(はんらん)して浸水被害を受けた多目的施設「乙亥(おとい)会館」で管家一夫市長から被災状況の説明を受けた。肱川を見下ろす場所で、管家市長が700戸ほどの家屋が浸水したことを伝えると、天皇陛下は「大変でしたね」などと話した。
その後、マイクロバスで仮設住宅に移動。自宅が2階まで浸水し、今は仮設住宅で暮らす山ノ内織江さん(66)に、天皇陛下は「家はどんな様子でしたか」と尋ね、皇后さまは仮設住宅での生活について「ご不便もあるでしょうが、頑張ってください。お体に気をつけてください」と気遣った。山ノ内さんは取材に「大変だけど、頑張ろうという気持ちになった」と話した。
幼い娘2人と妻とともに懇談した小玉和矢さん(33)は、両陛下から「子どもたちを連れてよく逃げて」と声をかけられ、「必死で守りました」と答えた。今回の水害では祖母ユリ子さんを失っている。小玉さんは取材に「お見舞いという形で訪問していただき、改めて災害の大きさを実感しました」と語った。
続いて、両陛下は自衛隊ヘリで瀬戸内海を渡り、広島県呉市の天応(てんのう)地区へ。仮設団地の住民らと約20分にわたり交流した。自宅が全壊し、窓から飛び降りて逃げる際に足を痛めた乗松眞喜子さん(90)は、天皇陛下から「おうちの方はどうでしたか」などと心配された。今でもショックで自然と涙が流れてしまうこともあるが、乗松さんは取材に「お声かけいただいて頑張る勇気をいただいた」と語った。
天皇陛下は交流後にも「お体を大事にして元気に過ごされるよう願っています」と被災者に声をかけた。