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教科書にも登場し、日本で最も有名な詩人・谷川俊太郎さん。86歳の今も詩集が新たに刊行され、朗読のライブに出演するなど、第一線で活躍しています。その半生は、往復ビンタをされた小学生時代に始まり、3度にわたる結婚・離婚、認知症の母の介護が家族に落とした影……と波乱に満ちたものでした。谷川さんがそんな自らの過去を率直に語った連載「語る 人生の贈りもの」(全15回)をまとめてお届けします。
自宅で愛用のマックに向かう谷川俊太郎さん=東京都杉並区、飯塚悟撮影
白内障の手術を受けたので、今年は、北軽井沢(群馬県)の別荘ではなく、杉並の自宅で過ごしました。暑さでぼうぜんとしているけど生活は変わらない。ダラダラ生きていますよ。
《3度の結婚・離婚を経て東京で一人で暮らす》
朝は6時半ごろ起きて水とサプリメントを飲み、昼は食べず、夜はセブンイレブンの玄米ごはんのレトルトのパックが中心。おいしんですよ、これが。カップのみそ汁も飲む。たんぱく質は冷ややっことか、いただきものの牛肉のつくだ煮とか。1日1食、セブンイレブンに依存して、生きています。酒はほとんど飲まず、夜12時過ぎに寝ます。
週1度、呼吸法の先生の加藤俊朗さんに来てもらっています。彼が本を出すんだけど、その中でぼくは「仙人」として登場するんだって。
《選集を含めて詩集は100冊超、翻訳も含めて絵本が約300冊……。膨大な仕事をしてきた》
詩はノート型のマックで、居間や書斎とかで書いてます。今月は詩集が2冊出ました。最近のひらがな詩を収めた『バウムクーヘン』と、劇作家の鴻上尚史さんが詩を選んでくれた『そんなとき隣に詩がいます』です。
健康で仕事ができていることは感謝の一言です。ただ、神様のイメージがぼくにはない。祈ることもしませんね。
そもそも自分を超えた存在に対して要求しちゃいけないと思っている。むしろ自分を生かしてくれているエネルギー、ビッグバンの頃に存在したエネルギーに感謝しているんです。自分は恵まれていると。20代の頃にこういう風に思えていたら、全然離婚なんかしないで済んだのにね。
岸田衿子さん、大久保知子さん、そして『100万回生きたねこ』の佐野洋子さん。3度の結婚と離婚の原因は――。ロングインタビューで人生と詩のつながりに迫ります。
■いきなり何度も往復…