来春の皇位継承に向けて政府は12日、式典委員会を設置し、儀式の簡素化に向けた検討を始めた。新天皇に即位する皇太子さまの「即位の礼」について、前回より参列者の範囲を絞り、国内外の賓客をもてなす祝宴を立食形式にして回数を減らす。
式典委員会の初会合で、宮内庁の山本信一郎長官は即位の祝宴である「饗宴(きょうえん)の儀」の見直しを提案した。「今回は立席(立食)の形式も含め、柔軟な考え方で日程や回数を検討するのがよいのではないか」
前回の皇位継承で饗宴の儀は、1990年11月12日から4日間にわたり計7回開いて、外国の元首や地方自治体関係者ら計約2900人が参加した。政府は招待客の縮小を検討しているが、日本と国交を結ぶ国は当時から約30カ国増えて195カ国。「海外に対するお披露目の意味もあるので、あまり絞るわけにはいかない」(官邸幹部)という事情がある。
そこで一部の祝宴を、着席しない「立食形式」とすることで1回あたりの人数を増やし、回数削減につなげる。即位日となる来年5月1日に皇太子さまは還暦に近い59歳、雅子さまは55歳。雅子さまは療養中のため、負担軽減もめざす。
新天皇の即位を内外に示す「即位礼正殿の儀」についても、参列者の人数を減らす。前回は皇居・宮殿で最も格式の高い「松の間」で行われたが、約2200人すべてを収容できないため、中庭に面した植え込みを撤去するなどして、仮設席を用意して対応した。
ただ、これだと降雨に対応しづらい。政府内では「前回は偶然晴天だったが、最近は秋の台風も多い。荒天のリスクに備えるべきだ」(政府高官)との声があがっていた。
これに対して山本長官は会合で…