かつて筑豊炭田で石炭列車を牽引(けんいん)していた蒸気機関車(SL)が、福岡県飯塚市の地元の親子たちによって再塗装された。きれいに仕上がり、まちの歴史を大切にする地元の人たちは「残しておいて良かった」と話した。
SLはD60形。子どもたちに郷土愛を育んでもらおうと、飯塚青年会議所(飯塚JC)が創立20周年記念事業として1974年8月、飯塚市の勝盛公園に設置した。
「鉄道の日」に国鉄OBらでつくる九州鉄道OB会飯塚支部のメンバーが清掃したり、さび止めに油を塗ったりしてきたが、設置から44年が経ち、腐食も進んでいた。
飯塚JCは、SLを通じてまちの歴史を知ってもらおうとイベントを企画。今年の「鉄道の日」の14日、古い塗装をはがし、さび止めを塗った車体を、公募で集まった約100人の親子連れに黒や白のペンキで塗装してもらった。
父親と参加した椋本小3年の落石直士君(8)は「電車は好き。塗るのはきつくて難しかったけど、(完成して)うれしかった」。
当時の飯塚JC理事長の江藤洋八さん(83)も姿を見せ、「今も子どもたちがここで遊んでくれる。残しておいて良かった。子どもたちに飯塚の歴史を知ってほしい」と話した。
九州鉄道OB会飯塚支部には飯塚JCから感謝状が贈られた。支部長の矢次武さん(75)は「廃車になってしまうところをこうして残してもらい、懐かしいしありがたい」と語った。(垣花昌弘)