広島、長崎両市を拠点に日米共同で原爆放射線の身体への影響を調査している放射線影響研究所(放影研)は15日、被爆時の年齢が月経開始(初経)年齢に近いほど乳がんになるリスクが高まるとの研究成果を発表した。今月、米学術誌に論文が掲載された。
初経年齢や被爆時年齢がそれぞれ低いほど乳がんのリスクが高まることは過去の研究で分かっていた。
放影研は1958年以降、被爆者と非被爆者計約12万人を追跡調査しており、この日、2009年までに乳がんを発症した女性について、被曝(ひばく)線量や初経年齢のデータを分析した結果を発表。例えば、15歳で初経を迎え30歳で被爆した人の乳がんリスクは非被爆者に比べて70歳時点で2・0倍だったが、初経が15歳で同年齢で被爆した人は2・4倍に上ったという。
アリーナ・V・ブレナー主任研究員は「初経年齢と被爆時年齢による放射線リスクの相関性は、放射線に対する乳房組織の感受性が第二次性徴のころに高くなることを示唆している」と指摘した。
この研究結果と、福島原発事故での被曝者らの関連については「原爆での被爆と原発事故のような低線量被曝とで、同じリスクがあるかどうかというのはまだ議論の途上」(小笹晃太郎・疫学部長)としている。(宮崎園子)