福岡市東区の九大箱崎キャンパスで9月にあった火災で、遺体で見つかった元大学院生の男性(当時46)について同大名誉教授が語った。男性は生活に困窮し、大学の非常勤講師や肉体労働のアルバイトをかけもちしていたという。
男性と交流があった木佐茂男・九州大名誉教授(68)が18日、会見した。
木佐氏によると、男性は15歳で自衛隊少年工科学校に入った。1994年に九大経済学部に入学し、法学部に転学して大学院へ。専攻は憲法。「穏やかでまじめで人なつっこい性格」で、木佐氏と02年ごろから親しくなった。
ドイツ語が堪能で、木佐氏の著書を校正するアルバイトもしたという。「15年と16年に出版した2冊は彼の協力なくして日の目を見ることはなかった」
男性は博士課程を中退したが、その後も研究室に通い、市内の私立大や専門学校で非常勤講師として労働法や民法を教えていた。ただ、生活は困窮していた。奨学金のほかカードローンもあり、「二百数十万円の借金がある」と木佐氏は打ち明けられたこともある。
最近は倉庫や宅配業者で夜間も働いていた。
木佐氏は、収入を得るため行政…