日本最西端の町、沖縄県与那国町の町議会(定数10)で、議長選が77回も繰り返される異例の事態になっている。与野党が5議席ずつを分け合っており、議長を出せば採決時に少数派になるためだ。議案の審議にも入れず、町民からは批判の声が上がっている。
町議会は22日、5回の議長選を実施した。2人の候補に対し与野党それぞれが同じ議員に投票して「5対5」になるため、くじ引きで決めるが、当選者は辞退を繰り返した。
与野党の議員は会話も交わさない。取材に対し、野党の田里千代基(たさとちよき)氏は「慣例通り与党が議長を出すのが当然。独善的な町政を続けさせないためにも譲らない」、与党の崎原敏功(さきはらとしかつ)氏は「慣例に従う決まりはない。否決ばかりする野党が過半数となれば町政が進まないため、必要な手段だ」と答えた。
地方自治法は議長は選挙で選ぶと定めるが、当選者の辞退に関する規定はない。全国町村議会議長会によると、他の自治体の同様のケースはほとんどが話し合いで解決したという。担当者は「これほど選挙が繰り返されるのは聞いたことがない」とあきれる。
議員は9月9日の町議選で選ば…