豊洲市場(東京都江東区)への移転により、今月10日に閉場した築地市場(中央区)で営業権を主張し、所有物を撤去していない水産仲卸業者など数社と組合があるとして、都が業者などに土地や建物の明け渡しを求める仮処分を東京地裁に申し立てたことがわかった。申し立ては18日付。
築地市場は10日に閉場。17日までは「引っ越し調整期間」として仲卸業者などの立ち入りを認めたが、18日から工事関係者以外の立ち入りを禁止し、本格的な解体工事を進めている。しかし、都によると、移転に反対する一部の仲卸業者の冷蔵庫や机が残っているといい、都は原状回復義務違反と主張している。
一方、移転に反対する「築地女将(おかみ)さん会」会長の山口タイさん(75)は「豊洲の土壌汚染問題は解消しておらず、移転は拙速」と営業権を主張し、営業継続を求めている。
築地市場跡地は2020年東京五輪・パラリンピックの輸送拠点として使われる予定で、都道・環状2号線の工事も始まっている。都の担当者は「このままでは工事の遅れにつながりかねない」と説明した。(西村奈緒美)