約2億3千万円のコンサルタント契約を巡る2020年東京五輪・パラリンピック招致の買収疑惑が、フランスを震源地に再び揺れ始めた。招致委員会の理事長だった日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏(71)を、仏裁判所の予審判事が容疑者として本格捜査に乗り出した。竹田氏は「潔白」を主張する。司法制度が違う日本とフランス。起訴まで至るのかどうか、予断は許さない。
国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある竹田氏がパリで予審判事の事情聴取に応じたのは、昨年12月10日だった。問題視されているのは、竹田氏が理事長を務めていた招致委員会が、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングズ(BT)」社に支払った約2億3千万円。13年9月に東京への五輪招致が決まる前後に2回に分けて払われ、これが開催都市決定の投票権を持つIOC委員への買収工作に使われたのではないか、という嫌疑だ。
20年五輪招致には、東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)の3都市が最後まで激しく争っていた。
日本の刑法では民間人同士の金銭のやりとりは汚職の対象にならないが、仏刑法では、違法行為などの謝礼として金銭などのやりとりがあれば公務員でなくても汚職になり、最大で禁錮5年が科される。また、国際機関や海外の公的業務にかかわる人を処罰対象とする規定もある。
竹田氏を取り調べた「予審判事…