徳島県は人工知能(AI)を使った議事録の音声のテキスト化と要約を、15日から全ての審議会や協議会に広げた。昨年度に知事の定例会見のデータを使って実施した実証実験を踏まえ、本格導入することにした。議事録作成にかかる作業が5分の1に減り、公開までの時間も大幅に短縮されるという。
行政改革室によると、昨年10月から今年3月に実施した実証実験では、これまで会見4日後だった知事会見のホームページ公開を当日中に前倒しできた。ホームページへのアクセス数も2倍以上に増え、利用者の満足度は9割を超えたという。
会議データを要約する「AI要約システム」は、当初は不自然な日本語になることもあったが、長い発言には「。」(句点)を入れるなどの工夫で分かりやすい表現になるよう、使い方を改善したという。
県の審議会や協議会は約130あり、議事録は原則としてインターネットで公開している。これまでは職員が音声データを聞きながら、パソコンで文字起こしをしており、作業に会議時間の5倍程度かかるため、公開が会議の数カ月後ということもあった。
飯泉嘉門知事は15日の定例会見で、「今後ともAIをはじめとする最先端技術を積極的に利用し、職員の働き方改革の推進、県民サービスの向上につなげたい」と話した。
この日の定例会見のテキスト化作業をした職員は「手作業では2人がかりでも残業になることもあったが、今日は私一人で1時間ほどで終えられた。早く内容を知ってもらえる上、他の仕事に充てられる時間が増える」と話している。(三上元)