児童・生徒への体罰や暴言があったとして、仙台市教育委員会は24日、教員176人に指導や戒告処分をしたと発表した。いじめを受けた中学生の自殺が相次いだことを受け、すべての市立学校の子どもや保護者にアンケートする過程で、体罰などが判明した。
戒告処分となったのは、仙台市若林区の50代の男性中学教諭。今年9月、上履きのかかとをつぶして履いていた1年生の男子生徒の頭をほうきでたたき、頭突きをするなどの体罰をした。監督責任があるとして校長も文書厳重注意処分となった。
このほか174人が市教委や校長による指導を受けた。3人が体罰、171人が暴言や感情的な言動などの「不適切な指導」をしていた。体罰では、▽指導に従わない児童の服をつかんでひきずり、擦り傷を負わせた▽積極性のない生徒を注意しようと額を軽くたたいた、などがあった。不適切な指導では、▽落ち着きのない児童に「特別支援学級の先生に言うよ」と言った▽大声を出して机を蹴った▽部活動の練習試合で「このままだと1回戦も勝てず、負け組になるぞ」と発言した、などがあった。
仙台市では2014年以降、いじめを受けた中学生の自殺が3年間で3件続いた。このうち17年4月に亡くなった男子生徒は、教諭から粘着テープを口に貼られるなどの体罰も受けていたため、市内すべての市立小中高校、特別支援学校の児童・生徒、保護者を対象に、体罰の有無などをアンケートした。
市教委は今年5月、アンケートで体罰が分かった教員37人に対して処分や指導をしたが、今回は不適切な指導があった教員と、新たに体罰が判明した教員に処分などを下した。
市教委は、処分や指導を受けた教員に研修を実施し、感情のコントロールや子どもの特性に応じた指導の重要性を学ばせるとしている。
仙台市では3件のいじめについて第三者委員会による調査や再調査が続いている。郡和子市長はいじめ防止条例の骨子案を示しており、条例案を来年2月の市議会に提出する方針。(山田雄介)