大阪メトロのなんば駅(大阪市中央区)で、22年にわたって行き交う人の目を楽しませ、ラッシュでささくれ立つ気持ちを和ませた熱帯魚たちが、数日前に姿を消した。広告スペースを広げるために大阪メトロが撤去を決断したが、惜しむ声が上がっている。
常時15種類ほどの熱帯魚100匹以上が、幅150センチ、奥行き60センチ、高さ70センチの水槽2基に泳いでいた。地下鉄御堂筋線の構内と、改札外の通路の両方から眺められ、待ち合わせ場所としても知られた。
水槽の「主(ぬし)」として親しまれたのはプレコというナマズの一種。ひげが生えたオーネイトキャットや、華やかな黄色のカエルレウスもいた。水中の飾りも紅葉やクリスマスツリーなど季節ごとに凝っていた。受験シーズンには穴の開いた絵馬を水に沈め、「魚が穴を通るのを見られたら縁起がいい」とうたった。
1996年に松下電器産業(現パナソニック)が水槽を提供し、広告会社「大阪オリコミ」が管理してきた。しかし最近は水槽脇のスペースに広告が入りにくく、年150万円の維持管理費を賄えていなかった。
大阪メトロは水槽がある場所を壁にして、より大きな広告が出せるスペースをつくることにした。「長年親しまれていたこともあり、移設場所を探したが見つからず、やむなく撤去を決めた」と説明する。「(10月)23日で展示を中止する」と告知を張りだした。すると、「泣いてしまいます」「おさかな 今までありがとう」と貼り紙に書き込みが相次いだ。ツイッターでも「寂しい」とつぶやかれた。
終電後の24日未明、水槽の清…