漫画などの海賊版サイト対策を話し合ってきた政府の検討会議の中村伊知哉・共同座長(慶応大教授)は30日、親会議にあたる有識者会議「検証・評価・企画委員会コンテンツ分野会合」で、接続遮断(サイトブロッキング)の法制化について中間とりまとめができなかった経緯を報告し「強引な動きで民間の連携を壊すことがないようにお願いしたい」と述べた。政府が法制化を強行しないよう、釘を刺した形だ。
冒頭、異例のあいさつ 海賊版サイト対策で深まる対立
海賊版サイト対策、接続遮断の可能性残す 中間まとめ案
検討会議は遮断をめぐって大きく割れ、賛成する意見も最後まで根強かったが、この日の中村共同座長の報告は反対意見を色濃く反映した内容になった。ボールを投げられた内閣府知的財産戦略推進事務局の住田孝之事務局長は終了後、来年の通常国会に遮断の法制化を盛り込んだ法案を出すかどうかについて「今の時点で決まったことはない」と取材に答えた。だが会議では、法制化の具体的な制度設計についても議論したことを強調するなど、断念していないことをうかがわせる動きも見せた。
検討会議は、有識者会議の下で専門的な内容を議論するために6月に設置されたが、激しく意見が対立した。中村氏ら2人の座長は明らかになった論点を公表するためにも賛否の両論を併記した報告書をまとめようとしたが、座長を除く委員の半分にあたる9人が、両論併記では政府が法制化を強行しかねないと反対。15日をもって無期限延期となっている。
座長らはまとまらなかったこと…