ハンドルやブレーキに全く触らず、声や身ぶり、視線などで操作できる自動運転車が、名古屋市で公開された。名古屋大と徳島大、アイシン精機(愛知県刈谷市)などの研究グループが開発し、こうした自動運転車は世界で初めてという。
武田一哉・名大教授(信号処理)らの研究グループは、運転者の声に加え、カメラで視線の向きや口の動きなどをとらえ、高い精度で運転者の意思を認識する技術を開発。名大キャンパス内の実証実験で、走行中だけでなく、出発から到着まで自動で走行できることを確認した。
運転者が「右に曲がって」と伝えると指示通りに方向を変えるほか、「あれは何」と尋ねると、視線の向きや地図情報から「図書館です」などと建物の名前も答えられる。
この技術は自動運転車だけでなく、ロボットなどを簡単に操作することにも応用できると期待される。武田教授は「実用化には時間がかかるが、今後、様々な環境で誰が使っても走行できるよう性能を高めていきたい」と話している。(西川迅)