政府の未来投資会議(議長=安倍晋三首相)は6日、過疎化や少子化が進むなか、地方銀行や路線バスのサービスを維持する方策について議論した。こうしたサービスを担う企業が生き残りのために検討する経営統合について、安倍首相は、統合をスムーズに進める制度の見直しを来年夏までに進める方針を示した。
安倍首相はこの日の会議の冒頭、「地銀や乗り合いバスのサービス維持は国民的課題だ。地方におけるサービスの維持を前提に経営統合を可能とする制度、透明なルールを検討する」と発言。地方におけるサービスを維持していくことを最優先に、独占禁止法が支障になって事業統合が進まない問題を解消する考えを明らかにした。
首相の方針を踏まえ、公正取引委員会の杉本和行委員長は会合で「統合しないと地域に必要なサービスを維持できない場合は、独禁法の問題になるとは考えていない」と発言した。
茂木敏充経済再生相は会合後の会見で、「統合を可能にする(新たな)制度をつくることを検討する」と述べた。その上で、独禁法改正なども視野に新たな制度づくりに着手し、来年夏までに結論を出す考えを示した。
地銀統合を巡っては、これまで公取委は統合による寡占を懸念して慎重な姿勢だった。九州が地盤のふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)の統合計画を巡っては、長崎県内の中小企業融資のシェアが高まって独占状態になることに公取委が懸念を示した。十八銀の債権を他の金融機関に譲渡してシェアを引き下げることで折り合いを付けるまで2年を要した。このため、金融庁は独禁法が今の時代に合わないとして政府全体で見直すことを求めていた。(山口博敬)