生態系を脅かすとして駆除される外来魚を、標本として活用しよう――。大阪市のベンチャー企業がそんな提案をしている。骨が透けて見えるタイプの標本で、学習教材やインテリア用として、9月から東京の雑貨店で試験販売を始めた。
標本制作会社「アクアテイメント」(大阪市都島区)の松前諭社長(43)が、ボランティア団体が駆除した外来魚「ブルーギル」などの稚魚を譲り受けて試作した。
近畿大水産学科でマグロを研究していた時に学んだ標本作りの技術を生かし、2010年に会社をつくった。処分される「ブルーギル」や「タイリクバラタナゴ」のうろこや内臓を取り、薬品を使って脱色。骨は鮮やかな色で染める。
松前さんは、自らも外来魚駆除のボランティア活動に参加してきた。
「日本に連れて来られたために、自然を脅かす悪役として退治される。でも、外来魚も元の国では自然の一部だったはず」。そんな思いから、捨てられる外来魚を少しでも役に立てようと、標本にいかすことにした。
東京都世田谷区の雑貨店で試験販売を始めたほか、大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)で17、18日にある「大阪自然史フェスティバル」、12月1、2日に神戸サンボーホール(神戸市中央区)である生物をテーマにした展示販売イベント「いきもにあ」でも販売を予定している。(鍛治信太郎)