人の操縦やプログラムに沿ってプロペラで飛ぶ小型無人航空機「ドローン」。新潟県内で、その技能や知識を学べる教習所が広がっている。ドローンの活用の幅が広がり、使いたい人が増えているようだ。
「前方よし、右よし、左よし……」
10月24日、上越市三和区の体育館。参加者が安全確認の声を上げると、ブーンと蜂の羽のような音を立てて約30センチ四方の機体が浮かんだ。「新潟上越ドローンスクール」の教習だ。
8人の参加者は2~3人のグループに分かれ、点検から移動範囲の設定、飛行までを体験した。
指導するのは現役の自動車教習所指導員。技術を教えるノウハウを成長産業で生かそうと、上越自動車学校が9月に開校した。実技と座学の計4日間(入校金3万円、受講料24万円=いずれも税別)で、「ドローン操縦技能者」などの民間資格の証明書を得られる。
操縦していた上越市の林直人さん(44)は、ドローンを活用した事業を始めるため、23年間務めた運送会社を12月に退職予定だ。「待っていても仕方がないと思った。挑戦したい」と意気込む。
機体を丹念に点検していた同市の建築土木会社の工事部長松矢秀成さん(57)は、社員2人で参加した。これまで外注してきた空撮を、自社で撮影できるようにしていく方針だ。「測量もできれば、人手不足解消にもなる」と期待する。
同市の公務員男性(40)は、今後職場で使う可能性があると思い、自発的に参加した。「北海道地震では捜索や復旧支援に使っていた。県内でも活用が進んでいくと思う」と話した。
農業用に特化した教習もある。10月30日、村上市の荒川沿いでは、農業用ドローンなどを販売する新潟クボタ(新潟市中央区)の教習があり、購入予定者6人が薬剤散布の練習をした。
長岡市の農家鈴木正常さん(44)は、レンコンの茎に付くアブラムシの防除薬をまくのに役立てたいという。「体力的にもつらかったのが楽になると思う」。村上市のコメ農家石栗勝義さん(37)は「いろいろなメーカーがこぞって製品を出している。今のうちに練習をしておきたい」。
新潟クボタの農業用ドローンは、現在約35台が販売済み。2016年の2台から大幅に増えた。営業部の古桑和也さん(28)は「便利でコストも安いので、加速度的に普及が進んでいる」と話す。
業務で使う人にとって、座学も…