日韓両国のプロ球界で投手として活躍し、韓国で「国宝級投手」と呼ばれた宣銅烈(ソンドンヨル)氏(55)が14日、野球の韓国代表監督を辞任した。今夏のジャカルタ・アジア大会での代表選考をめぐる不正疑惑で世間を騒がせた責任を取った。
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10月の国会で、国会議員の一方的な質問攻めにあったことも辞任の一つの契機になったという。
宣氏をめぐっては、優勝したアジア大会で、兵役免除の対象になる選手を優先的に選んだという疑惑が浮上。宣氏は14日の記者会見で、「代表選手と金メダルの名誉を守りたい」として辞意を表明した。
宣氏は現役引退後に韓国プロ野球サムスンを優勝に導いた手腕を評価され、2017年に代表監督に就任。20年東京五輪での優勝を目指していた。
今回の辞任で宣氏が強調したのが、政治の介入だった。宣氏は10月、国会に出席した際、全国5球場で行われるプロ野球の試合をテレビで視聴しながら選手の状態を確認すると述べたことがあった。これに対して議員が「テレビで選手の状態がチェックできるのか」と批判。「20年まで年俸2億ウォン(約2千万円)を受け取るのか」「(アジア大会での)優勝が、それほど難しかったとは思わない」などと責め立てた。
宣氏は14日に配布した声明で、こうした議員の発言が「辞意を固める一因になった」と説明。「政治とスポーツは分離すべきだ」「監督に必要なのは、一にも二にも三にも忍耐だ」などと心情をつづった。(ソウル=牧野愛博)