鹿児島大難治ウイルス病態制御研究センターの馬場昌範教授らのグループは19日、エボラウイルスの増殖を抑制する新たな化合物を発見した、と発表した。エボラ出血熱には有効な治療法がなく、今回の発見が治療薬の開発につながる可能性があるという。
馬場教授らによれば、発見した化合物は、マラリア治療薬「アモジアキン」の分子構造を変えた「誘導体」と呼ばれるもの。馬場教授らは2014年から、マダニを介して感染する重症熱性血小板減少症候群などの原因ウイルスに対し、アモジアキンの効果について研究し、約100種類の誘導体を作った。
16年、エボラ出血熱の患者のうち、アモジアキンを投与された患者は投与されていない人に比べ致死率が低い、という国境なき医師団の研究チームによる研究成果が発表された。
馬場教授らはこれを受け、誘導体を米国のテキサスバイオメディカル研究所の研究者グループに送り、培養細胞を用いた実験で効果を検証した。アモジアキンより約10倍も抑制効果の高い誘導体が発見されたという。
研究結果は3日、国際専門学術誌「アンチヴァイラルリサーチ」の電子版に掲載された。今後、米国の研究施設でマウスを用いた実験をし、効果を確認する予定という。
馬場教授は「早く患者さんのもとに治療薬を届けられるよう、研究を進めたい」と話している。(加藤美帆)