スマホ向けニュースアプリで、人工知能(AI)が利用者の閲読傾向にあわせてニュースを配信するパーソナライズ(個別化)が急速に進んでいる。「グノシー」と「スマートニュース」が昨年から段階的に導入、「LINE」も10月下旬から始めた。重要性や公共性などをもとに、編集者が価値判断をしてきたこれまでの報道から、大きな転換となる。現状と課題は。
スマートニュースは大手メディアから個人のブログまで国内約2700媒体のニュースを編集部なしで機械的に選んで配信する。2012年の創業から性別や年齢などの属性にあわせたアルゴリズム(計算方式)で選んできたが、昨秋から個人の好みによる個別化を開始した。
同社によると、この2、3年、ニュースのトップ面を見るだけで、個別のニュースをクリックしない人が目立ってきたという。このため、ニュースを読むきっかけとして個人の関心に応じた配信を決めた。
岑(みね)康貴メディア事業開発マネージャ(35)は「読むべきニュースを届けるとともに、個人の関心をカバーすることが狙い。利用者の継続率の数字から満足してもらっていると実感している」と話す。
グノシーは、創業した11年から個別化を導入。ニュースを早く更新することを優先するため、いったん中止したが、より精度の高いAIのめどが立ったことから昨年3月から再び個別化を進めている。利用者が読んだ履歴からAIが個人の関心を把握し、おすすめニュースを配信。継続率などの指標を調べると満足度が上がっていた。
ただ、自分が好む情報ばかりに包まれる状況は「フィルターバブル」といわれ、専門家から懸念もある。共同創業者で同社技術戦略室の関喜史さん(30)は「バランスを取っており、その人の好きなニュースばかり配信しているわけではない」と話す。「政治的に対立する相手についても攻撃材料を探すためなどにニュースを読むことがあり、政治的に同じ立場のニュースばかり読むという事態は我々のサービスの中では観測されていない。問題は偏りよりも、政治ニュースへの無関心にある」
「LINEニュース」は16年…