旧奈良少年刑務所(奈良市)を改修し2021年春から「監獄ホテル」として運営する民間グループの代表が代わることが分かった。国が施設を保有したまま運営を民間委託する「コンセッション方式」による事業で、事業者選定後に代表が代わるのは異例だ。選定手続きの妥当性や透明性をめぐり疑問が出ている。
奈良少年刑務所、最後の見学会 改装後「監獄ホテル」に
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【360度動画】旧奈良少年刑務所で、改装工事前の最後の見学会=2017年7月、矢木隆晴撮影
運営権(約32年間、さらに最長30年の延長可能)は17年12月、ホテル運営会社「ソラーレホテルズアンドリゾーツ」を代表とするグループに、6千万円で売却した。150億円以上を投じて施設を改修・整備し、ホテルとして営業する計画だ。グループには清水建設や東急コミュニティーなど、計8社が参加している。
ところがソラーレは今年2月、代表から退いた。新たな代表には、選定時には参加していなかった住友商事が就く方向で、負担額などを詰めている。
ソラーレの担当者は取材に対し、「引き続きメンバーという形でやらせてもらう」と説明している。だが、企業グループの複数の関係者によると、ほかのホテル運営会社の参加を前提に、事業から撤退するという。当初、想定していた利益が見込めないためとみられる。
旧奈良少年刑務所は1908(明治41)年に建設され、2017年2月に国の重要文化財に指定された。耐震性の問題から閉鎖が決まっていたが、民間資金を活用して改修し、観光資源化することになった。
事業者の選定にあたっては、ソ…