5本の指を使ってマッサージを施すロボットの開発に、豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)と健康機器製造販売の「リッコー」(東京都中央区)が共同で取り組んでいる。ロボットの試作機が完成し、今後、人工知能(AI)で制御するソフトを開発する。AIの活用で熟練のあん摩マッサージ指圧師の施術を再現することを目指している。
開発したハンドロボットは、物をつかむように動く指4本と、押すことに特化した親指にあたる1本からなる。ハンドロボットは可動式のアームにつながり、カメラを備えた制御部が人体の肩や腰の位置を把握する。現状では指定した部位へ移動し、「親指」で患部を押す動きを再現している。
リッコーの本名敦夫取締役は「人にマッサージしてもらっているような感覚に近づけるには、五本指のロボットが必要」と話す。ロボット制御研究の実績がある豊橋技科大へ共同開発を持ちかけた。
同大の田崎良佑助教(ロボット運動制御)は「1台で全身の施術が可能なハードができた。今後、熟練した施術者のデータを数値化してロボットに学習させる。人の動きに追従してマッサージを施すような人に寄り添うロボットにしたい」と話した。(宮沢崇志)