ほれた腫れたでドタバタするのは人間だけではない。京都市下京区の京都水族館は10月下旬、飼育しているケープペンギン59羽の相関図の掲示を始めた。お互いの相性はもちろん、尽くし続けたり嫉妬にかられたりと、個性は1羽ずつ違う。
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体長は50センチほど。よちよち歩く姿はかわいらしく人気がある。来館者が似た模様を見分けるのは難しいが、飼育員は1羽ずつの違いをつかんでいる。「それぞれの性格やプライベートがあることを知ってもらおう」と飼育員6人が中心となり、数カ月かけて相関図をつくった。
6歳のオスの「たけ」は、切れ目に太めのくちばしをもったイケメン。警戒心が強く、飼育員が近づくと長靴をつついて威嚇する。しかし、ひなのときから世話してきた飼育員の小島早紀子さん(28)には心を開いている。
小島さんが近づくと、首を左右にかしげるしぐさで愛情をアピール。2年前には気持ちが高ぶり、巣箱に誘って求愛した。繁殖期に巣箱にメスを招いて恋を実らせる習性があるが、飼育員で誘われた経験があるのは1人だけだ。
たけには昨年、彼女ができた。目がぱっちりとした「うめ」だ。2羽は多くの時間を共にし、夜になると寄り添って寝るようになった。たけは相変わらず小島さんにうれしそうに近づくが、その姿を見たうめが嫉妬し始めた。たけを世話する間、つついて攻撃してくる。小島さんは「彼女ができたときはショックだった」と笑う。
ペンギン界にもアイドルはいる。モテモテなのはメスの「てら」だ。デート中は岩陰に隠れ、ほかのオスに姿を見せない。小島さんは「オスを転がす技をもつ」と明かす。
卵を温めるパートナーに寄り添…