カタール政府は3日、中東などの産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)から来年1月に脱退すると発表した。世界最大の輸出量がある液化天然ガス事業に注力するためという。カタールの原油生産量はOPECの中で少ない方だが、脱退すれば天然ガスも含めたエネルギー市場全体に与える影響は大きく、OPECの存在感低下につながる可能性がある。
ロイター通信などによると、カタールのカアビ・エネルギー担当相が記者会見で明らかにした。カアビ氏は「大きな成長の可能性がある事業に集中する方がいい」と説明。すでにOPECには脱退の意思を伝えたという。
カタールに対しては、イランと対立関係にあるサウジアラビアなどの4カ国が2017年6月、イランに接近していることなどを理由に断交。サウジはカタールに経済封鎖を続け、イランとの関係縮小などを求めている。ただ、ロイター通信によると、カタールは今回の決定は「政治的なことや経済封鎖とは関係ない」としており、6日にウィーンで開かれるOPECの総会にも出席するという。
OPECは1960年、欧米の国際石油資本(メジャー)に対抗して石油の生産や価格を調整するために設立。カタールは61年に加盟した。英国石油開発大手BPの統計によると、カタールの昨年の原油生産量はOPEC最大の産油国サウジの2割弱。(ドバイ=高野裕介、ブリュッセル=津阪直樹)