ノーベル医学生理学賞を10日(日本時間11日未明)に受賞する本庶佑(ほんじょ・たすく)さん(76)。その人柄が語られるとき、「こわい」という声が、さまざまなエピソードとともに聞こえてくる。もちろん真理を追究する、厳しい研究への姿勢があるからこそ、のものだ。
亡き師もノーベル賞候補だった 本庶さんを生んだ研究室
「はたらく細胞」オプジーボの活躍は? 作者描き下ろし
【特集】ノーベル医学生理学賞の本庶佑さん
部屋に怒りのオーラ充満
動物のしま模様を研究している大阪大の近藤滋教授は、京都大で免疫の研究していたときの体験を、自身のサイトでこう語っている。
H先生から「ただちに教授室に来るように」という電話があった。なんだろう? 実験のことかな? 教授室に入ると、部屋に怒りのオーラが充満している。「こ、これはやばい」と身構えた時に、すでにダース○ーダーと化したH先生が、ゆっくり口を開き、重々しくおっしゃるのであった――。
このH先生とは、本庶さんのことだ。
近藤さんは自宅で熱帯魚を飼い、私的な時間に、本庶さんの研究室での仕事とは無関係な、しま模様の研究にかかわる実験に取り組んでいた。その成果をまとめ、内緒で学会発表に申し込んだのが、本庶さんにばれたのだ。
勤務中は免疫の実験をし、私的…