パナソニックが、ユニットバスやシステムキッチンなどの住宅設備機器を海外展開し、売上高を12年で20倍にしようとしている。大きな伸びが見込めない国内市場から中国や東南アジアに打って出るシナリオを描くが、その試金石と位置づけるのが台湾だ。伝統的な職人による施工が賃金高騰に見舞われており、追い風が吹いている。
同社エコソリューションズ社が12、13の両日、台北市などで開いた記者見学会で、山田昌司ハウジングシステム事業部長は、住設機器の海外売上高を2018年度に見込む50億円から、30年度には1千億円まで増やす構想を明らかにした。大幅な伸びを見込むのは、住宅建設の投資が急増する中国やインド、台湾、東南アジアだ。
最初の成功を狙うのが海外展開の「ショーケース」(山田氏)ととらえる台湾だ。台湾市場の動向は、同じ中華圏で14億人の巨大市場を持つ中国の開発業者が絶えず注目。加えて、すでに進出を済ませ、昨年10月にパナソニックが完全子会社化したパナソニックホームズ(旧パナホーム)との相乗効果も見込める。
台北市のショールームでは、ユニットバスなど工場であらかじめ造る「日本式」の住宅設備機器をPRしている。
台湾の浴室は、職人が現場でタイルを張って仕上げるのが普通だが、高齢化が進んで働き手が減り、賃金が高騰。工業製品化し、工期が短いユニットバスの需要が目立って増えてきた。中国でも今後、高齢化が進むため、台湾と同じように既製品の住宅設備への需要が増えていくとみている。
一方、脱原発を進める台湾では…