滋賀県草津市の飛鳥~室町時代の集落遺跡、榊差(さかきざし)遺跡で、金銅仏の光背(こうはい)をつくるためとみられる奈良時代前半(8世紀前半)の鋳型(いがた)がみつかった。市教育委員会が12日発表した。飛鳥~奈良時代の仏像の光背の現存例は少なく、光背の鋳型がみつかるのは初めて。専門家は、当時の仏像製作の過程を知るうえで重要な発見として注目している。
市教委は土地区画整理事業に伴い、2015年から発掘調査を実施。溶かした金属を鋳型に注いで器物をつくる金属生産の遺構が確認され、鍋や釜を支える「獣脚(じゅうきゃく)」をつくったとみられる国内最古級の鋳型もみつかっていた。
光背は仏像の背後につく、仏身から発せられる光を象徴的に表現した装飾。粘土製の破片18点が、獣脚の鋳型がみつかったのと同じ穴から出土した。破片は最大で9・5センチ×5センチ。ハスの花をかたどった蓮弁(れんべん)形や、雲文(うんもん)か唐草文(からくさもん)のような模様があったことなどから、市教委は、高さ20~30センチの金銅仏の光背をつくるための鋳型だったとみている。
遺跡の近くには、飛鳥時代後半…