クリスマスが今年も近づいている。男性記者(25)の予定は今年も白紙だ。煩悩を振り払おうと、頭に浮かんだのが「二千階段」。群馬県藤岡市の山あいで通りすがりに看板を見かけて気になっていた。ひたすら登れば何かを悟れるのでは――。
「二千階段入口」の看板に従って県道を外れ、上り坂を1・5キロほど行くと広場がある。車を降りて季節外れの藤棚の下を行くと、階段が始まる。カウンターを携えて、踏み出した。
広場の地図看板によると、二千階段は子王山(こおうやま、標高約550メートル)の登山道。広場から直接山の頂上へ至る階段は「男坂」と呼ばれる。なだらかな遊歩道を経由して「女坂」からも頂上を目指せるが、今回は修行のつもりで迷わず男坂を選ぶ。
針葉樹林の中の階段は次第に急になる。10分後、下りてくる男性(69)に出会った。「900段と書いてある杭のところでへばっちゃって」。埼玉県から群馬県高崎市に出張中で、地図で二千階段を知ったという。男性は「もう来ないかな」。
確かにきつい。階段が崩れたのか、ひざほどの段差もある。所々に張られたロープを頼りに踏ん張る。息が上がる。その後は男女2人組と出会った以外、人の姿はなかった。「900段」杭を見つけたが、手元の数は「511」。もうずれてる?
頂上までは、ふもとの広場から…