今月14日に兵庫県赤穂市であった115回目の赤穂義士祭。昨年より1万人以上多い約8万人でにぎわった。義士行列への声援と拍手で沸き返る沿道で考えた。なぜ日本人は忠臣蔵が好きなのか。義士ゆかりの高光寺で住職を務める三好一行さんに聞いた。
――日本人は「忠臣蔵」が好きですね
日本だけではありません。フランスの名振付師、モーリス・ベジャールが忠臣蔵をバレエ化した「ザ・カブキ」は海外で何百回も上演されている人気の舞台です。オペラ「忠臣蔵」の初演の演出を担当したドイツの映画監督、ヴェルナー・ヘルツォークは「忠臣蔵の物語は、ドイツ人にもよく理解できる。我々の国にもナイト(騎士)がいますから」と話したそうです。
――当時の社会は、どう受け止めたのでしょうか
赤穂浪士切腹から2週間もたたないうちに、江戸では事件が芝居化されました。人々が太平の世に慣れた元禄時代。命をかけて主君への忠義心を貫き、武士の一分を守った姿に「あれが本当の武士の姿なのだ」と感じた人たちが多かったでしょう。現代でも「自分たちにはとても四十七士のまねはできない」という感想をよく聞きます。
――まねできないとは?
まずは、命をかけて初心を貫く…