国が2019年度末の完成に向けて工事を進める八ツ場ダム建設現場の群馬県長野原町川原湯地区で、推定約35トンの巨石が掘り出された。見つかった場所は、かつて温泉街の共同浴場「王湯」があった場所のすぐそば。温泉の由来として地元で語り継がれてきた源頼朝ゆかりの「衣掛け石」では――。地元ではそんな声が上がっている。
国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、この巨石はダム湖岸の公園予定地付近を工事中の今年8月、地中から見つかった。高さ2・6メートル、周囲は10メートルに及ぶ。10月中旬に地元住民を招いて見学会を開き、その後埋め戻した。
長野原町誌などによると、川原湯温泉は1193年に源頼朝が開いたという伝承がある。頼朝が湯につかった際、脱いだ衣を掛けたとされる「衣掛け石」が長らく共同浴場「王湯」の前にあった。だが1930(昭和5)年ごろ、豪雨被害後の道路拡張工事のため地中に埋められたという。
2014年に高台の代替地に移転オープンした現在の王湯会館の前には、衣掛け石のレプリカが飾られている。
明治時代の衣掛け石の写真と今回発見された石を比べると頂点が一部削られているが、形は似ている。同一とすれば、約90年ぶりに日の目を見たことになる。
八ツ場ダム予定地に関係する土…