防衛計画大綱が5年ぶりに改定された。宇宙やサイバーなども活用した「多次元統合防衛力」構築をうたうが、防衛構想というより、攻撃型装備の導入を前面に押し出した。具体的運用方針もあやふやなまま、護衛艦「いずも」の空母化に踏みきるなど、専守防衛を有名無実化させる内容で、軍拡を進める中国への強い対抗心がにじむ。
政府は米海兵隊仕様の戦闘機F35Bを導入、護衛艦「いずも」で離着艦できるよう改修する方針だ。大綱では、有事や警戒監視のほか、災害対処にも活用できるとしているが、災害対処に「空母出動」とは、さすがに説明に無理がある。中国が空母を相次いで建造していることを念頭に置き、運用構想そっちのけで「空母保有」の悲願を達成したいとの思いが透ける。
2013年の大綱では、北朝鮮の脅威を強調し、弾道ミサイル防衛(MD)の重要性を強調した。だが、米朝対話の実現などを受けて、今回は北朝鮮よりも中国を強く牽制(けんせい)。「既存の国際秩序とは相いれない独自の主張に基づき、力を背景とした一方的な現状変更を試みる」と指摘した。
「離島防衛」を名目に、中国に…