熊本市のバス網再編への議論が本格化しようとしている。大西一史市長は、11月の市長選で、重要公約の一つにバスを含む公共交通網の再編を掲げ、再選を果たした。市内に複数の乗り換え拠点を整備し、JRや市電との連携を強化。公共交通の利用を促して、深刻な渋滞の解消も狙う。ただ、再編には民間バス事業者4社の統合など「荒療治」も含まれ、紆余(うよ)曲折が予想されている。(大畑滋生)
「民間バス会社の統合を含め、積極的に関与を進めたい」。11月19日、再選から一夜明けた記者会見で、大西市長はバス網再編についてそう踏み込んだ。
熊本市内は、九州産交バス、熊本都市バス、熊本電気鉄道、熊本バスの4社が路線バスを運行。市中心部では競合各社のバスが団子状に連なって運行し、渋滞や時間の遅れを生み出している。西日本鉄道が路線バスをほぼ独占している福岡市などとは状況が異なる。
熊本市都市圏のバス利用者は1975年度の1億137万人が、2017年度には2561万人と4分の1ほどに減少。九州新幹線開通や訪日外国人の増加で好調な鉄軌道(JR、市電など)の利用者数(2747万人)と逆転した。
市民の足を確保するため、市は赤字バス路線に補助金を出しており、その額は年約5億円にのぼる。「公共交通網を維持するには経営の効率化が不可欠」(市幹部)というわけだ。
バス網再編の議論が始まったの…