7月の西日本豪雨でミカン畑が広範囲に土砂でなぎ倒されたり埋まったりする被害を受けた愛媛県宇和島市吉田町で、若手のミカン農家10人が産地復興に向けた株式会社を設立する。19日に法人登記を申請した。畑の復旧を請け負い、新たな商品開発も目指す。
JAえひめ南の出荷拠点の一つ、玉津共選場近くの空き家を改修して社屋を構え、社名は「玉津柑橘倶楽部(かんきつくらぶ)」とした。玉津共選場の西山基明(もとあき)所長(55)が「楽しみながらミカンづくりをしよう」と名付けた。
被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信
西日本豪雨、列島各地の被害状況は
玉津共選場によると、管内のミカン畑約400ヘクタールのうち2割以上が土砂崩れなどで被災し、ミカンを運ぶモノレール、水などをまくスプリンクラーも壊れた。しかし約180戸のミカン農家のうち40歳以下の「若手」は50人以上と比較的多く、数年前から会社設立を構想。豪雨を機に「みんなで頑張ろう」と具体化させた。
事業は「営農」「販売」の2部門。営農部門では収穫などの作業を農家から受託し、機材の修繕など復旧も担う。販売部門は独自ブランドの商品開発や販売を目指し、インターネットでの情報発信を重視する。
会社設立の中心になった原田亮司さん(35)は「結束力を高めて復興を早めたい。20、30年後もより強い産地として残っていくため、雇用の場を作り、支えていきたい」と話した。(佐藤英法)