クリストフ・ルメール騎手(39)の快進撃が止まらない。
1日の阪神競馬最終レースでアディラートに騎乗して1着となり、今年の中央競馬200勝目を挙げた。年間200勝は武豊騎手が3度記録しているだけで、ほかの騎手は誰も達成したことがなかった。
「今年目標にしていた記録でした。うれしいです」とルメール騎手。昨年は199勝に終わり、あと1勝届かなかった。今年は年間最多記録の212勝も視界に入っている。
勝利数ばかりではなく、その中身も濃い。
アーモンドアイとのコンビで手にした牝馬(ひんば)3冠とジャパンカップをはじめGⅠレースの勝利は8勝。従来の記録だった6勝を更新する新記録となった。
母国フランスで騎手になった。外国人騎手に与えられる上限3カ月の短期免許で初めて来日したのが2002年12月。期間中に161戦し15勝を挙げた。以来、毎年来日した。
15年に日本中央競馬会(JRA)の通年免許を取得。この年112勝を挙げて勝利数ランキングで4位になると、16年は186勝で2位、17年は199勝で史上初めて外国人のリーディングジョッキーに輝いた。
その騎乗ぶりは年齢を重ねるとともに円熟味を増している。馬に負担をかけず、走る気を引き出すのがルメール流だ。
昨年のダービーは「神騎乗」の一つと言われる。レースがスローペースになったのを見て取ると、14番手から2番手まで一気にポジションを上げた。大レース、ましてやダービーの舞台で見せた大胆騎乗。結果的にこの早めのスパートが功を奏し、レイデオロは第84代ダービー馬に就くことができた。
さりげなく勝利を重ねているが、中にはコントロールしにくい癖馬もいる。「ルメールだから勝てた」という関係者は多い。
有馬記念はルメール騎手にとって、思い入れの強いレースだ。来日するようになって初めて優勝した重賞レースが05年の有馬記念だった。
ハーツクライに騎乗して大本命馬ディープインパクトを下した。16年にはサトノダイヤモンドとのコンビでキタサンブラックを首差で競り落として勝利した。
レイデオロとのタッグで3度目の有馬記念制覇を目指す。